愛媛大学附属図書館所蔵『俳家先哲墨蹟鑑』について 教育学部 国文学 福田安典 愛媛大学附属図書館に江戸期の俳人の短冊手鑑が所蔵 されている。 折本一冊。縦三七・二糎、横九・二糎。緞子布地表紙。 外題、内題ともになし。見返しに銀箔を施す。 【箱】箱があり、箱の外題が「俳家先哲墨蹟鑑 夢酔園藏」、 底面裏に「慶応四年戊辰麦秋落成」とある。すなわち、慶応 四年に夢酔園なる人物の落成に合わせて、制作した短冊 張り合わせ帳(手鑑)である。 【夢酔園】不詳。但し、短冊の最後が安永・天明期に芭蕉 復興を目指した白雄(江戸住)であり、手鑑にも芭蕉門下 が少なからずあるので、白雄門下かもしれない。 【内容】 収録されている俳人名を列挙する。貞室、立圃、重頼、 良徳、西武、季吟、梅盛、徳元、元好、燕石、梅翁、鬼貫、 言水、素堂、湖春、似船、旧徳、一時軒、園女、専吟、 信徳、任口、旧室、木丹、(剥落)、其角、嵐雪、去来、 忠常、野坡、越人、北枝、杉風、暁台、野水、尚月、秋色、 子葉、千代尼、調和、鳥酔、帰童仙、闌更、(剥落)、蓼太、 白雄の計四十四名。剥落箇所が二箇所ある。 しかしながら、偽筆という点で言えば、このような手鑑は、 その上、偽筆真筆が混在する場合が多く、本書もその例外 ではない。そのことを含んだ上での、本書の活用が望まれる。 短冊はほぼ年代順に並べられていて、貞門、談林、蕉風、 宝暦明和、安永天明という現代の俳諧史区分とほぼ合致し ている。 参考文献 「愛媛大学附属図書館所蔵『俳家先哲墨蹟鑑』について」 (2000年「大阪俳文学研究会会報」第三十四号) |