素鵞神社



荒れにけり 茅針まじりの 市の坪

子規


 明治25年春の句。
 「茅針」は「つばな」とよむ。茅花(ちがや)のことで若い花穂のこと。春先に生銀白色の毛をかぶる。
 この年,子規は7月〜8月の間帰郷しており,7月下旬伊予郡永田村の友人,武市庫太を訪ねて一泊,8月2日その武市にたのまれ,永田村祭礼の折りの発句集の選をしている。そういう時,この地を通っての吟か。
 市の坪(現市坪)は,旧余戸村市の坪で条里制(日本古代の耕地の区画法)から呼ばれる土地の名。
 子規は荒れにけりと詠んだが,石手川が度々氾濫したいたので下流の市の坪は特にひどかった。

「ちばな」 イネ科の多年草。高さは約60センチメートルで、原野に生える。地下茎は横走して繁茂する。葉は線形で先端は尖る。春、葉に先立って花茎を出し、多くの小花穂を単生する。穂を「つばな」または「ちばな」という。