福角町



大伊豫の 友國の湯に ひたりつつ ほのほのとして ものをこそおもへ

(吉井)勇


 吉井勇《明治19(1886)10・8〜昭和35年(1960)11・19》は,昭和9年当地に二ケ月滞留して,この歌を詠んだ。
 彼は,青春放埓,つねに享楽の人生を艶情と哀愁の二色をもっ平明に歌いつづけたが,土佐隠棲の志を持つようになった昭和6年から妻とも別れるようになった昭和8年の頃,その歌は今までの流離放浪の痴夢を清算して,人生の悲哀に直面した,あわれ深い人生的歌風に変った。
 この歌はその頃の歌。
 「友國」は,この地の小字名で,ここの「ごんげん温泉」は,以前は「友國の湯」といっていた。