平成18年9月5日

愛媛大学役員会

総合学生サービスセンター(仮称)の設置及び図書館本館の整備について

1.はじめに

 愛媛大学運営協議会(当時)の下に設置された『「キャンパス事務センター」(仮称)設置検討専門委員会』は,城北地区の教育学生支援業務の集中化と図書館業務の見直し等に関する課題と問題点を検討し,平成18年5月に報告書(資料1)を役員会に提出した。報告書は,大学図書館の今後の在り方,「キャンパス事務センター」の機能,図書館機能と「キャンパス事務センター」機能の調和について大学が明確なビジョンを提示することを求めている。この提言を受けて,役員会では,愛媛大学憲章に謳う「学生中心の大学づくり」の理念に適う学生サービス・学生支援の在り方を検討し,その検討結果に基づいて「総合学生サービスセンター」(仮称)の設置及び図書館本館の整備に関する実施計画を立案した。以下にその概要を示す。

 

. 学生サービス・学生支援の在り方について

 愛媛大学は,法人化後の平成17年3月に制定した大学憲章において,「教育機能を充実させ,学生が入学から卒業・修了までの過程で,自立した個人として人生を生きていくのに必要な能力を習得できる機会と場を提供する」ことを宣言した。従来の国立大学はややもすると規制と慣行に従い,建物施設と教職員の管理に力点を置いた行政機関の性格を強くもっていたことに比して,本学が打ち出した「学生中心の大学づくり」という方向性は,管理運営組織の在り方の見直しを迫るだけでなく,従来踏襲されてきた学内諸施設の機能や配置に関しても発想の転換を求めるものである。

 これからの大学は,学生を,受動的な教育サービスの消費者ではなく,大学の知的活動を活性化させ発展させる能動的な主体であると見なすべきである。この理念を実現するためには,第一にキャンパス全体を学生の生活の場と見て,学生に主眼を置いた適切な措置を施すこと,第二に,大学教育を授業の場に限定することなく,自学自習の場や正課外における人間的・社会的な成長を促す場や機会を積極的に提供することが必要である。すなわち,キャンパスにおける学生の生活や正課外活動も広く大学教育の一環として認識しなければならないのである。

 

 

このような観点から,学生サービス・学生支援の在り方は以下の方向性で改善されなければならない。

1)学生が自学自習するために自由に利用できる空間の確保

2)学生の学習支援機能の充実

3)サークル活動,ボランティア活動など人間性・社会性を培う場や機会の提供

4)学生が置かれている複雑で困難な社会的状況に対処するための相談・支援機能の充実

5)学生対象の事務手続の集約化・効率化(IT化を含む。)

 

3.「総合学生サービスセンター」の設置及び図書館本館の整備について

-1.全体計画 

以上の理念と方向性を踏まえて,愛媛大学は中長期的な見通しのもとに施設,空間利用の見直しを行う。図書館本館については,平成17年11月に役員会がその方向性を了承した『城北地区「キャンパスサービスセンター」(仮称)設置計画・附属図書館(本館)ビル改築計画について(案)』に沿って,1階部分を「総合学生サービスセンター」とする(資料2)。サービスセンターには,城北地区に分散する教育学生支援部各課室及び4学部学務チームを集結する。また,教育・学生支援機構学生支援センターの専任教員もここに配置し,学生支援機能を充実させる。2階以上の上階部分を図書館本館とし,従来の図書館機能を保全しつつ開架式の図書閲覧機能を中心に,主として学生が常時学習の場とすることが出来る施設とする。なお,図書館本館スペースの狭隘化をできるだけ緩和するために,省スペースを目途とした書架の導入,利用頻度の少ない書籍の他の保管場所への移転,図書館本館以外の建物における自学自習のためのスペースの確保等の措置を取るものとする。

 

-2.「総合学生サービスセンター」の機能

サービスセンターには,学生サービス事務機能(入学・卒業手続,授業登録,試験・成績管理,その他の事務手続)と学生支援機能(学生の学習・生活上の相談・支援等)をもたせる。

勉学上必要な事務手続に関しては,セキュリティーの強化をふまえたIT化を推進しつつ学務事務の一元化を実現し,学生にとって事務手続きが煩雑化することを出来るだけ回避するように努める。そのため,職員の専門化と繁忙部署への即応態勢などの柔軟な組織改革を推し進め,学務系の事務処理の質を向上させる。

学生支援機能の充実を図るために,学生支援センターの専任教員,学生生活課職員,就職課職員を本サービスセンターに一堂に集め,修学支援,生活相談,課外活動支援,キャリア教育,就職指導等の業務にあたる。また,学生が後輩学生の勉学支援を行う「スタディヘルプデスク」等の機能も充実させる。

 

-3.図書館本館の機能の見直しと学習機能の強化

学生生活の日常において,自学自習の時間と場所を十分に確保することが強く要請されている。授業以外の日頃の学生生活の中心となる基礎的な空間の確保に関しては,既存施設利用の在り方の見直しを含めて,特段の努力が大学に求められている。特に図書館については,学術研究上のサポート機能と文化的な資料の蓄蔵・展観等の社会的地域的文化機能を保持しつつ,今次の改革においては大胆に学生のための学習空間の確保と蔵書管理の合理的な再編を行なうものとする。

大学図書館の主要な使命は学生の自主的学習や研究の支援である。デジタル化の波が押し寄せ,デジタル資料と紙媒体混在の過渡的な状況の中で,資料の合理的な配置と利用者へのサービスの向上は依然として重要な役割であるが,学生に対する学習の場と機会の提供は大学図書館の最大の使命であることを強調しておかなければならない。

学生が学習のために必要な参考書や文献を調べ,また,種々の検索を行って参考にすべき書籍や文献を調べるとき,専門の所属が決まっていない学部学生ほど図書館が重要な情報源になる。この点への強い需要を十分に勘案し,大胆な対策を図書館としても施さなければならない。しかも,この時期の学生ほど大学での勉学の意義を体得するために自学自習が重要な意味をもつ。このような学生に,図書館がいかに役立つか,居心地がよくしかも勉強する気を起こさせる場所であるか,大学らしい雰囲気を味わえる場所であるか,を実感させることが図書館としてもっとも関心をもつべき事柄である。

現状の利用実態を踏まえるならば,図書館の機能は共通教育・専門教育実施組織と連携し,共同で学生への対応を作り上げることが望ましい。具体的には教育・学生支援機構,教育学生支援部,各学部の教育コーデイネーター,教務委員会との連携が必要である。

施設面においては,図書館本館の2階以上を整備し,学生が種々の目的で自学自習を行うのに必要な多様な形態の自習室を設ける。また,3階中央のオープン・スペースを学生・教職員用の談論・憩いの場(ティーサロン)とする。オープン・スペースの周辺にはテント屋根を張り巡らせ,テーブルと椅子を配置し,中央にもテント付きのテーブル・椅子を置く。アカデミックななかにリラックスした静穏な空間を実現し,新たな大学の雰囲気を作り出す一助とする。

学術研究活動をサポートする図書館機能については,ⅠT化を徹底して学術情報基盤整備に努めるものとする。また,研究者への従来のサービス(検索,学内文献の借り出し,学外図書館との相互貸し出し,複写サービス等)に関しては,IT化によって利便性を高め,質的向上を目指すものとする。

中長期的には,図書館新館の建設をも視野に入れながら,今後の図書館機能の在り方について図書館将来構想委員会等でさらに検討するものとする。

 

4.実施体制と実施時期について

 上記の計画を実施に移すために,役員会の下に置く「施設マネジメント委員会」(委員長:学長)の専門部会として,副学長(総務・施設担当)を委員長とする「総合学生サービスセンター(仮称)等整備専門部会」を設置する。専門部会は,施設整備・移転作業のための具体案を作成するとともに,実施にともなう問題点等を洗い出し,「施設マネジメント委員会」に報告するものとする。

 図書館本館は耐震化未完了の建物である。そのため,愛媛大学では図書館本館を国立大学法人施設整備費補助事業による耐震改修の申請対象としている。高レベルの構造強度を要する書庫,トイレを含む身障者のための移動用施設等については耐震改修工事と同時に整備し,それ以外の施設整備及び移転作業は,耐震化工事完了を待って実施するものとする。現時点では,耐震化工事は平成19年秋以降になる見通しである。

 

 

 

 

資料1:「キャンパス事務センター」(仮称)設置に関する課題と問題点等について(報告)

    (平成18年5月16日 役員会)

資料2: 城北地区「キャンパスサービスセンター」(仮称)設置計画・附属図書館(本館)

    ビル改築計画について(案)(平成17年11月1日 役員会)