鈴鹿文庫" 「鈴鹿文庫」解説

鈴鹿家は京都市の吉田神社の社家として,中世以降卜部(うらべ)神道の伝統を継承してきた。鈴鹿連胤(つらたね)は,近世後期に日本最古の辞書「新撰字鏡」を探求し,これを世に紹介した。連胤とその後裔は,文学関係者と交渉が深く,香川景樹・小沢蘆庵などとも交渉があり,伊予の国学者矢野玄道もしばしば鈴鹿家を訪れている。

 鈴鹿三七は,連胤から四代目,京都大学で国文学を専攻し,大谷大学,ノ−トルダム清心女子大学,神宮皇学館大学教授を歴任した。業績としては,吉沢義則著「日本古刊書目」は,恩師の名で刊行されたものであり,「今様歌」「水鏡」のほか「和歌短冊影譜」「勅板集影」「北村季吟著作集」などがある。昭和42年,79歳で没した。

収集された蔵書内容は,以下の多方面にわたる。

1)神道

 卜部神道の家系だけに,さすがに貴重なものが多い。「日本書紀」の写本,板本の収集は圧巻で,神代巻67点に及び,寛永板本から明治初期までほぼ完全に網羅している。「中臣祓」「古語拾遺」の板本の各板も多い。「日次紀事」は,孤本で貴重である。

2) 和歌

 交わりの深かった香川景樹・小沢蘆庵らの資料は特に豊富である。
その他,近世後期の歌集の板本100冊余,明治大正期の歌集160冊。

3) 物語・随筆・日記等 

 源氏物語・方丈記・徒然草については旧蔵者は著書もあるので,それらの写本・板本・注釈書類は豊富に集められている。さらに複製本も多い。

4)国語学

 「千手千眼陀羅尼経」など,訓点資料の複製本が多く,入手困難な国語史研究上貴重な資料である。

5)書誌学

 旧蔵者は,関西における書誌学の開拓者と言われるだけに,基本資料である各種書影の複製本がよく集められている。
諸書には,旧蔵者の手で,その伝来,関係資料との比較などがたんねんに記載され,
またこれらを借覧した他の研究家からの書簡も添付されており,研究上貴重な資料となっている。

他に印譜の収集,大正・昭和期の各種目録が約100ある。

6) 外国語

 Brian,Aston,Gurdert,Florenzなどの外国語訳の日本文学が収集されている。

7)美術

 「白鶴帖」など大冊の複製画集,「書苑」「手かがみ」など書道関係の複製がある。

8) その他

 伝記・地誌など豊富である。また雑書とされるものの中にも,稀覯本が多い。また伊予に関するものでは,矢野玄道,近藤篤山・半井梧庵等の写本がある。

9)点数  7,432

内訳(概数)

書 写 本

445種

562冊

板   本

   578種

990冊

複 製 本

   146種

263冊

活 字 本

  (約3,200種)

5100冊

その他(軸・箱・その他)

 

517点